趣味を通じた「人と人とのつながり」で、再び俳句を詠まれるようになられた、ご入居者のエピソードをご紹介します。
現在、M様は94歳、要介護3の男性。
お人柄が良く温厚で博識、同室の奥様のことを常に優しくサポートされ、ホームの中でもリーダ的存在でした。趣味の俳句は俳誌『ホトトギス』に掲載されるほどの腕前で、ご家族やご友人たちといつも楽しそうに俳句のお話をされていました。しかし、奥様やご友人との悲しいお別れ、また新型コロナ感染症拡大の影響でご家族と会えない暮らしが続き、徐々に気力が低下、俳句を詠むこともなくなりました。
スタッフはM様に俳句のある生活を取り戻していただきたいと、まずは昔お詠みになった俳句の中から季節に合った一句を選んでいただき、フロアに掲示することから始めました。さらに、お仲間づくりが大切だと考え、今月の季語ポスターを各フロアに開示し、参加者を募りました。
他のフロアからの参加者がおられることを伝えると、M様も、再び俳句を詠まれるようになりました。筆圧が弱く、ご自身で書き留められなくても、スタッフがお伺いしながら代筆したり、言葉が思い浮かばないときも、お話ししながら一緒に考えたりしています。
俳句は何歳になっても楽しむことができます。俳句の輪はどんどん広がり、現在では、M様を座長として気軽に俳句を楽しむアクティビティ『初めての俳句、最初の一歩』を開催するまでになりました。月に一回のペースで句会を開き、俳句仲間とご一緒に季節の移ろいを楽しんでおられます。
M様(男性/94歳)